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ヨーロッパ特許庁の料金改定  

古谷国際特許事務所ニュースレター149号
(C)2008.2 FURUTANI PATENT OFFICE
2008.2.1



内容


 ヨーロッパ特許庁は、2008年4月1日より、特許出願関係の費用を改定する。今回の料金改定で注目されるのは、出願時のクレーム加算料金である。

 現状では、10個を超えるクレームがある場合、超過クレーム1つごとの加算料金は、45ユーロであった。たとえば、30個のクレームにて出願をした場合、超過クレームの費用として45ユーロ×20=900ユーロの追加費用が必要であった。

 これに対し、4月1日以降の出願から適用される新料金では、15個を超えるクレームがある場合、超過クレーム1つごとの加算料金は、200ユーロとかなり高額に設定されている。たとえば、30個のクレームにて出願をした場合、超過クレームの費用として200ユーロ×15=3000ユーロの追加費用が必要となる。

 ヨーロッパ特許庁の発表は以下のURLより。
Decision of the Administrative Council of 14 December 2007 amending the Rules relating to Fees (CA/D 16/07)


実務的対応


 超過クレームの値上がり幅が大きいため、クレームが20個程度以上であれば、優先期限やPCTの国内移行期限にかかわらず、2008年3月31日までにヨーロッパ特許庁に出願手続・移行手続を行うことが好ましいと思われる。

 なお、EPC2000が既に施行されており、ヨーロッパ特許出願は日本語でも可能となっているので(3ヶ月以内に公用語を補充する必要がある)、翻訳文の追加提出に要する事務的な費用を考えても、クレーム数が多い場合には、日本語で出願をしておくという方法も考えられる。


その他の情報


 なお、各国での翻訳文提出を軽減する内容を含んだLondon Agreementが2008年5月1日より発効する。現在のところ、ヨーロッパ特許庁によって特許査定がなされた場合、3カ国語によるクレームの翻訳文をヨーロッパ特許庁に提出するとともに、指定国の特許庁に対して当該国の公用語による明細書全文の訳文が要求されている。

 London Agreementによれば、英語、ドイツ語、フランス語を公用語とする国(オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、アイルランド、ルクセンブルク、モナコ、スイス、イギリス)においては、クレームだけの翻訳文(英語、ドイツ語、フランス語)を提出するだけで良く、明細書全体の翻訳文の提出は必要なくなる。

 2008年5月1日以降に発行される特許については、上記の新たな規定が適用される。したがって、出願人の側において、特許発行日を2008年5月1日以降にするための手段をとることができなら、検討してみるべきであろう。

 詳しくは、下記URLより。 The London Agreement: European patents and the cost of translations




NOTES


この資料は、下記の著作権表示をしていただければ、複製して配布していただいて結構です(商業的用途を除く)。 (C)2008 FURUTANI PATENT OFFICE /



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